診療案内

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小児一般および小児喘息を主としたアレルギー疾患の診療を行います。

乳幼児健診・予防接種

診療時間:月・火・水・金/14:00〜15:30
予約制となっておりますのでお電話でご予約ください。

乳幼児健診

乳幼児健診

6、7か月健診、9、10か月健診、1歳6か月健診

3、4か月健診、3歳健診については武蔵野市のホームページをご覧下さい。

予防接種

当院で行っているその他の予防接種

水痘/おたふくかぜ/インフルエンザ/ロタ/B型肝炎/A型肝炎(1歳以上)/狂犬病/髄膜炎菌

世界中で予防接種を受けず亡くなっている方が毎年260万人生じています。
日本は今だ予防接種後進国と言われています。定期、任意接種でのワクチンの重要性には全く差はありません。
ぜひすべてのワクチンを接種されるようお勧めいたします。

 

クリニックからのお願い

下記の症状がある場合、受付にお申し出下さい。

伝染性疾患の疑いがのあるこどもたちのお部屋は別に分けています。

花粉症、アレルギー性鼻炎の内服薬の注意点

花粉症(アレルギー性鼻炎+結膜炎)のシーズンで。今年も多くの人が抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)を内服するでしょう。風邪での鼻汁や通年性のアルルギー性鼻炎も同様ですが使用薬が脳内に移行し(熱性)痙攣が起きやすくなったり、眠気など症状がなくてもImpaired Performance : IP(ちょっとした集中力、判断力、記憶力、作業効率の低下など、気づきにくい能力ダウンです)が損なわれ、授業中眠くないのに成績が落ち、薬の変更や中止で回復することがあります。眠くなければ大丈夫とは全く関係ありません。これらの薬の中には大人が1回分飲んでウイスキーのシングル3杯、又はビール3杯飲んだのと同じぐらいIPが低下するものもあります。アメリカでは説明なしに処方され車を運転し、事故を起こした場合処方医が訴えられたり、図のように37州およびワシントンDCでは車の運転が禁じられています。国内販売の薬で説明書にIPが低下の記載がない(心配ない)薬剤は現在3種類だけですが年令により使用制限があります。中~長期的に服用する薬ですのでご心配でしたらご相談ください。
特に受験は花粉症シーズンと重なりIPが低下実力が発揮できないことがないようにしたいものです。

ウイルスと抗生物質(抗菌薬)の適正使用について

ウイルスと細菌(バクテリア)は全く異なるものです(※1)。抗生物質(※2)は細菌に対し殺菌的または静菌的に作用するものでウイルスには全く効果がありません。いわゆる風邪の90%以上は風邪ウイルスですから抗生物質の効果は極めて限定的です。しかし風邪で発熱時に抗生物質を飲んだら早く熱が下がったと思われる方も多いと思われます。
これは①関係性の錯誤に起因しています。抗生物質を飲 だから解熱した(因果関係)と、もともとウイルス感染は高熱が出ても1~3日位で解熱するので飲まなくても自然に下がる(前後関係)が一緒になり関連性の錯誤を起こしてしまいます。そのような経験が何度かあると飲まなければ治らないという②確証バイアスがかかり③抗生物質依存へのスパイラル現象 が成立します。

①関係性の錯誤
因果関係
前後関係

②確証バイアス

③抗生物質依存へのスパイラル現象


ヒブ(インフルエンザ菌b型)や肺炎球菌ワクチンは細菌性髄膜炎予防のためです(※3)

以前、頻繁に抗生物質がつかわれた理由は、髄膜炎などの重症感染症が風邪(様)症状で始まることがあり重症化予防を期待してでした。その結果は何ら効果なく、かえって髄膜炎では神経学的予後が悪くなってしまいました。理由は髄膜炎を疑ったとき髄液を採取し初めの抗生物質の効果が不十分な場合検査結果を見て最も有効な抗生物質が投与できるからです。あらかじめ内服すると細菌が検出されず経験的な抗生物質の使用になり予後が悪くなってしまいました。

抗生物質乱用の時代が長く続き現在は耐性菌だらけになり本当に必要な時に治療に難渋することも多々あります。とくに呼吸器感染症いわゆる風邪ではその使用はごく限られています。
抗生物質が一般に使用されて約50年目頃に『人類は細菌に勝利した』と宣言する人もいたほどですが今はその逆になっています。


「安心のため」「念のため」の抗生物質使用は余計なお世話でかえって診断の遅れや予後を悪くすることがあります。むしろ重症感染症を疑った場合必要なのは慎重な経過観察(active observation)です。

適正使用を心がけたいものです。

 

※1ウイルス、細菌は目に見えず悪さするので一緒くたになっているかもしれませんが全く別物です。簡単にその差を見ると

① 細菌は生物ですがウイルスは生物の範疇に入っていません。理由は細菌は自己増殖できますがウイルスは他の生物の細胞がないと増殖できないからです。

② 細菌もそうですがすべての動植物の増殖はセントラルドグマ(DNA;遺伝子→メッセンジャーRNA→タンパク質→生物の構成)に従いますがウイルスの増え方は異なります。

③ 細菌は人間や他の動植物と同じ共通祖先(コモノート)を持っていますがウイルスは発生源不明です。

④ 生物は3つのドメイン(真正細菌:いわゆるばい菌、古細菌、真核生物)のいずれかに属しますがウイルスはこの範疇に入りません。



⑤ 細菌の大きさはμm(マイクロメーター;1㎜の1/1000)単位で光学顕微鏡で見れますがウイルスはその1/1000のnm(ナノメーター)単位で電子顕微鏡でないと見えません。



⑥ 抗生物質に効果があるのは細菌だけでウイルスには全く効果がありません。


※2 抗生物質の定義は微生物が産生し他の微生物の発育を阻止する物質のことで、抗菌薬は化学合成されたものを含めた言い方です。

※3 ヒブ、肺炎球菌ワクチンが定期接種になる前は年間約1000人弱の細菌性髄膜炎が小児で発生していました。そのうち約400人はヒブによるもので現在はほぼ0人になっています。肺炎球菌は98種類ほどあり現在使用のプレベナー13は髄膜炎を起こしやすい1番から13番目目までの菌腫に対してのワクチンで今は約70~80%は減少しました。

なおウイルスは病気の原因だけではありません。ヒトの遺伝子全体(ゲノム)の約40%はウイルス由来ですし、胎盤形成にもウイルスが必須など生物の形成、進化に大変重要な役割を果たしています。
また耐性菌対策にウイルス(バクテリオファージ)を利用したり、遺伝子疾患にウイルスを正常遺伝子の運び屋(ベクター)として利用したりと医療にも利用されています。


参考文献
西村龍夫 子どもの風邪:新しい風邪診療を目指して 南山堂 2015 
David R Harper 生命科学のためのウイルス学 南江堂 2015
橋本 一 抗菌薬を理解するために 国際医学出版 2015   その他多数

おまけ


ヒトの肝細胞と大腸菌、各種ウイルスの大きさの比


バクテリオファージという細菌にとりつく ウイルスで、マシーンのような形です



授乳(妊娠)中の内服について

授乳中、病気になると薬は飲めないものとをあきらめてはいませんか?我慢をして風邪が長引いたり、気管支炎や肺炎になればかえって赤ちゃんへの影響が出ないとも限りません。たしかに多くの薬には(妊娠)授乳中で制限があり、薬の説明書で全体の75%の薬で「授乳を中止させるか避けてください」、13%は「治療上の有益性が危険性を上回るときに投与」とほとんどの薬には注意書きが記載されています。ところがユニセフ / WHO(世界保健機関)やアメリカ小児科学会では授乳禁忌は3%、注意すべきあるいは影響の懸念のあるのは23%、その他74%の薬は授乳に差支えない とあり、これはエビデンス(事実)に基づいています。この差は単に国内では(妊婦)授乳中の母親への検討が未施行なため安全と記載できないからです。基本的に使用できない薬は①抗がん剤②免疫抑制剤③抗精神病薬④放射性物質⑤ある種の抗菌薬や鎮痛解熱剤です。

ご存じのように母乳にはミルクと違い多くのメリットがあります。
例えば

①赤ちゃんへは感染、アレルギー疾患、悪性腫瘍、乳児突然死症候群の予防効果
②母親へは出産前への体重早期復帰、乳がん、卵巣がん、骨粗鬆症の予防効果
③母児相互にとって関係のより緊密化(愛着)形成など
これら母乳の利点を損なうことなく安心して内服できる薬が選べればよいですね。

例えば乳幼児に処方できる薬は安全にお母さんが内服できますし、母親が内服した薬の母乳への移行は1%未満と言われ、母乳中の薬の濃度が上がらない時間に服用すればより安全です。また風邪などに罹患した場合、成人のほうが早く免疫が立ち上がり母乳から免疫物質(抗体やリンパ球)が赤ちゃんに与えられます。たとえ母乳を止めても子育てはお母さんがせざるをえませんので接触を避けるのは不可能でしょう。忙しいお母さん達が自分のためだけ病院に行くのは何かと大変と思われます。

妊娠、授乳中以外でも風邪かな?と思われるときはご相談ください。

小児気管支喘息について

秋は年間を通し最も喘息の発作がおこりやすい季節です。
喘息について簡単にまとめてみました。


《疫学》

小児アレルギー疾患のうち食物アレルギーは頻度が増えていますが喘息は以前より減少し全人口の5%位です。発症は1~3歳がピークで3歳までに80%が発症します。

《症状》

軽い発作であれば夜中や明け方の咳がめだち、呼気時に連続したヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)が聞かれます。喘息の診断はこの明らかな喘鳴の確認で決まりますが、鼻汁や痰が絡んでのゼーゼー、ゼロゼロとの鑑別が必要です。程度が強くなれば横になると呼吸がつらくなるため起坐呼吸となり、さらに吸気時に肋間や首のつけねがひっこむ陥没呼吸などの呼吸困難になります。

《喘息の病態》

 

本態はアレルギーによる気道の慢性炎症でそのため気管支が収縮しやすいという気道の過敏性が生じ、それに発作を起こす原因が加わると気管支の狭窄(気流制限)がおこり、狭い気道を呼気が通過するため喘鳴が生じます。

最も問題になるのは炎症が続いたり、喘鳴を繰り返すことで気道の炎症が修復するさいに正しくなおらず、気道壁のリモデリングという気管支壁の肥厚がおこってしまうことです。
リモデリングは 非可逆性の状態であり、そのため喘息の難治化や重症化、成人喘息への移行を引き起こしたりします。

気管支喘息発作の原因

《直接的な原因》

①タバコ、花火、線香、魚を焼いたときの煙やスプレーの使用、
②ハウスダスト、ダニ、カビ、花粉などのアレルゲン、
③いわゆる風邪ウイルス、RSウイルス、マイコプラズマなどの気道感染症など
なかでも
④ダニの糞や死骸は最も強いアレルギー性をしめします。ダニは夏に繁殖し秋に死骸が飛び散り発作を起こします。

《間接的な原因》

季節によるもので・・・
①秋雨前線と台風の時期(9~10月) 
②梅雨の時期(6~7月)
③前日に比べ平均気温が5℃以上低下
 

これらのうち避けれるものは極力避ける努力をしてください。

 

    鑑別すべき他の疾患

    喘息様気管支炎・・・年少児で風邪をひいたときに喘鳴がある場合、この診断名がつけられます。喘息様気管支炎を繰り返すうち、発熱やのどの痛み、鼻水などの風邪症状がなく、急に喘鳴や咳だけが出るようなら気管支喘息の発作かもしれません。また喘息様気管支炎を3回繰り返すと広義の小児喘息として治療を行います。

    咳喘息・・・喘息の軽い状態が咳喘息です。一定の条件、例えば走り回る、布団の上でバタバタ騒ぐ(ほこり)、大泣き大笑い、夜中や明け方に咳がでるなど常に同じ条件で咳が数週間以上も出るようでしたら咳喘息の可能性がでてきます。この場合、喘息と名がついていますが喘鳴は聞き取れません。また風邪での咳と違い、発熱やのどの痛み、鼻水など他の風邪症状や、短期間での症状の変化は見られません。

    細気管支炎・・・RSウイルスの感染で喘鳴があり時に呼吸困難で入院になる ことがあります。生後6か月以下では注意が必要で特に生後2,3か月以 内ですと休止呼吸~無呼吸で発症することがあります。 この場合喘息での治 は功を奏さず呼吸管理が主となります。

《治療》

環境の整備と薬物療法に分けられ掃除がきちんとできていると発作が半減するとも言われています。
治療は小児気管支喘息治療・管理ガイドラインがあり数年毎に改定され、いつから治療を始めるか、どのような治療を選択するか細かに記載されています。ここでは薬物療法についてです。


発作の頻度が年数回までであればそのつど発作への治療を、さらに月1回以上の頻度となれば非発作時にもコントロールのための治療が必要です。
発作時の薬は狭窄した気道を広げるための気管支拡張剤であり、非発作時には気道の炎症を抑えるために坑炎症薬(ステロイド吸入)や抗アレルギー薬((またはロイコトリエン拮抗薬;キプレス、モンテルカストなど)をもちいます。


治療の目標は、小学生以上なら激しい運動でも咳や喘鳴がなく皆と同じような普通の生活がおくれることです。そのためには喘息の本態である気管支の慢性炎症を抑えることが最も重要になり、単なる気管支拡張剤の使用はそのときの発作の回避だけで根本の解決にはなりません。
抗アレルギー薬にも抗炎症作用はありますが、最も有効な手立てはステロイドの吸入です。
ステロイド製剤ではよく副作用が話題になりますが、それは全身投与(内服や注射など)の場合で、吸入のような局所投与では全身の副作用はまず問題になりません。そのため小児気管支喘息のガイドラインでも吸入操作が可能であれば第一選択となっています。なお6歳以上で毎日発作が出る場合アドエア(ステロイドと気管支拡張剤の合剤)が治療に入ります。
なお最近は発作時のみ1週間ほど抗アレルギー薬を使用する方法もありますが、その場合は発作が起きてからの使用となり本来の使用法ではありません。


5歳以下の長期管理薬;2020年版とほぼ同様

 

咳喘息を御存知ですか?

長期にわたり咳以外の風邪症状、例えば発熱、鼻汁、咽頭痛、倦怠感などみられないのに下記に示すような一定の条件で咳が出るようでしたら咳喘息の可能性があります。

例として

①走った後
②布団の上でばたばた騒いだり、ほこりっぽい所(部屋)で
③泣いたり、大笑いしたとき
④タバコや花火、線香、スプレーなど煙を吸ったとき
⑤クーラーの冷気で
⑥秋や梅雨、季節の変わり目
⑦夜中や明け方

以上のような条件を満たすようでしたら咳喘息かもしれません。本当の(気管支)喘息は息をはく(呼気)たびごとに連続したヒューヒュー、ゼーゼー、ピーピーという喘鳴が聞かれます。咳喘息は喘息と名がついていますが 喘鳴は聴診器でも聞き取れません。しかしその本体は軽い喘息発作です。この状態を放置した場合、7割のこどもたちは将来自然に解消しますが3割ではその後、小児喘息に移行するというあなどれない状態です。
月に1回以上、かぜ以外で咳がでるようでしたら咳喘息の可能性が高く、小児喘息への移行を阻止するためアレルギー予防薬を用いたほうがよいと明記されています。
咳の長いおこさまがおいででしたら声をかけてください。

嘔吐下痢症について

ノロウイルスによる嘔吐下痢症は毎年流行します。
嘔吐下痢症はウイルス性胃腸炎のことで、多くはロタウイルスノロウイルスが原因ですが他にもアデノウイルスサッポロウイルスアストロウイルスなどがあります。

症状

    潜伏期間は1~2日で、典型例でははじめに吐きだし、その後下痢になります。腹痛や発熱を伴うこともありますが、多くは1週間以内に症状は改善します。
    白色下痢はロタウイルスで多いものの、ノロウイルスでもおこります。
    まれに無熱性けいれんをおこします。

鑑別診断

    経過中、高熱が続いたり下痢便に血液が混じるときは細菌性胃腸炎(サルモネラ、病原性大腸菌など)の疑いもあり、便の細菌検査が必要となります。

感染経路

    経口感染により腸内で増殖し便に排泄、嘔吐がある場合は胃にわずかに逆流した腸の内容物が吐物にも混じります。そのため予防は吐物や下痢便を処理した後の手洗い消毒にかぎります。また少数のウイルス(100個以下)でも感染し、乾燥した吐物や便中に含まれているウイルス粒子が風で舞って経口感染することもありえます。
    ちなみに下痢便1gにはロタ、ノロウイルスが10~100億個いるといわれています。

治療

    ウイルスに対しての薬はなく、脱水の予防と対症療法になります。

ロタウイルスの予防にはワクチンをおすすめします。

ノロウイルスに有効な消毒

次亜塩素酸ナトリウムが主成分の塩素系消毒薬、漂白剤が有効です。
(ハイター、ブリーチ、ミルトンなど) 濃度は0.1%以上で使用します。

 

消毒例

手指: 石鹸と流水、特に流水でウイルスを洗い流します。
吐物や下痢便で汚染されたもの: ビニール手袋 、マスクを使用し外側から内側に向かってふき取り、処理物はポリ袋に入れて密封して廃棄。 その後を消毒薬でふき取ります。(右図)
衣類: 50倍に薄めた消毒剤をペーパータオル、 布で汚物をふき取り、50倍のものに30分つけ ます。他の衣類とは分けて洗ってください。
床: 10倍に薄めた消毒剤をペーパータオル、 布でおおい、5分おき、外から内へ向かってふき 取ります。
トイレのノブ、床など: 250倍に薄めた消毒剤でふきます。金属は30分後に水ふきします。
注意:塩素系消毒液で色落ちしたり、金属を腐食させたりします。

フルミスト(インフルエンザ生ワクチン)

国内ではまだ未承認ですが欧米では10年以上前から広く使用されています。フルミストは生ワクチンのため従来の不活化ワクチンと同様に血中抗体値の上昇に加え、さらに鼻腔局所での免疫も得られるので高い予防効果が証明されています。もちろんどのワクチンもそうですが100%効果を保証するものではありませんが・・・。

また不活化ワクチンは皮下注射ですがフルミストは鼻への噴霧で痛みはありません。
副作用は注射と違いアナフィラキシーなど重篤なものはまずは心配なく、時に鼻汁、鼻閉、発熱が認められる程度です。

対象年齢は2歳から49歳以下

2回接種対象者:8歳以下で今までインフルエンザの罹患なく、さらに従来の不活化ワクチンを1回も受けたことのない方は4週間隔で2回

1回接種の対象者:上記以外の方で多くは1回接種ですみます。
効果の持続は不活化では4、5か月間、フルミストは約1年間です。

 

料金は1回8,000円で、返品不可能のためキャンセルでの払い戻しはできません。ただしワクチンが納品されず接種できなかった方へは全額返金いたします。

予約完了者の実施手順

接種は11月からを予定していますが個人輸入のため納品日は未定となります。

① 納品され次第ホームページの「お知らせ」に掲載いたします。
電話をいただき接種日を決めてもらいます。

② 当日はいつもの診療予約システムをご利用いただき診察の順番を取って来院してください。予防接種の予約枠はご利用できませんので午前か午後の診療時間内となり、夕方は17時30分までには接種できるようにご配慮お願いいたします。

注意点

●接種禁忌者:
①重症の卵白アレルギー(アナフィラキシーなど)
②喘鳴(呼気時のゼーゼー)があるか喘息の方 
③妊娠中やその可能性がある 
④アスピリン内服中 
⑤慢性疾患または免疫不全


接種当日に鼻汁や鼻閉がひどい方は改善後に接種をしてください。

 

○ 国内未承認のため健康被害が生じた場合公的保証制度は利用できません。そのため定期接種とは別にフルミスト単独接種となります。

○ ワクチン入荷は11月の予定ですが遅れる可能性はあります。12月中に接種できれば問題ないですが待てない方は不活化ワクチンを先行しても問題ありません。(不活化と生ワクチンの併用が可能でさらなる予防効果が期待できます)

○ 製品の正式名はFluMist Quadrivalentで輸入元はMedImmune社 (アメリカまたはカナダ製)です。

痛いのはいや、注射が嫌い、暴れるかもしれない、 受験を控えているなどのお子さんにはお勧めでしょう。

不活化インフルエンザワクチン接種について

接種回数

6か月以上13歳未満は2~4週間隔で2回      
13歳以上は原則1回接種

料金 

初回は4,000円、2回目の方は3,500円です。
なお他院で1回目を受け当院で2回目の方は4,000円となります。

インフルエンザワクチン接種の必要性について

昨年接種していてもインフルエンザワクチンは不活化ワクチンのため、効果は4、5ヶ月位です。

毎年インフルエンザウイルスの流行株は変化し、昨年のワクチンは無効になります。

毎年100~300人のお子さんがインフルエンザ脳症/脳炎を合併し、致死率10%、後遺症出現率25%と大きな問題となります。

接種後であればインフルエンザに罹患しても軽症ですむことが多く、脳症などの重大な合併症をはまず心配しないですみます。  
またタミフルなどで脳炎/脳症は予防できないといわれています。

罹患すれば受験や大切な日に、前兆なく急に40℃以上の高熱が出現し、いくら坑インフルエンザ薬を内服しても間にあいません。

卵アレルギーはアナフィラキシーを起こすほどでなく卵の加工品をごく少量でも摂取できれば安全に接種可能です。
一冬にインフルエンザは1回だけでなく複数回、種類の違う型に罹患することがあります。

以上のような理由でワクチン接種をお勧めいたします

インフルエンザについて

程度の差はあれ毎年流行するのがインフルエンザです。 武蔵野市 小児科 インフルエンザ

症状

    典型例では潜伏期間がは1~2日で、突然の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などで発症、かぜ症状は初期には目立たないこともあります。
    有熱期間は3~5日(平均4日)です。
    ただしインフルエンザ迅速検査を行いますと微熱程度または発熱のない方も大勢います(かくれインフルエンザ)。全員高熱がでれば皆休みますので感染拡大はないかもしれませんが元気な方も多いため流行が収まらないのでしょう。

合併症

    インフルエンザ脳症/脳炎の他に、肺炎、熱性けいれん、中耳炎、気管支喘息の発作、筋炎などがあります。

診断

    流行状況や症状および迅速診断検査でおこないます。ただし検査時期が早すぎると体内でウイルスがまだ増えておらず、陰性のことがあります。

治療

    タミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザなどの抗インフルエンザウイルス薬をもちいます。使用により約1日は早く解熱しますが重症化の予防になっているかは不明です。
    なお投薬は発病後48時間以内でなければ効果は望めません。
      以前、タミフルの副反応で異常言動が問題となりました。投薬に関係なくとくに発病後2日間〜発熱中はなるべく目を離さないようにして下さい。

    その他、安静、水分の補給、状況で解熱剤を。

予防

    なによりもワクチンによる予防で、ワクチンさえ受けていれば罹患しても重症化は防げると言われます。
    インフルエンザは飛沫感染でうつり、低温、乾燥を好みます。
    そのため外出時のマスク、帰宅時の手洗い、うがいと適度な加湿(70~80%)、保温が必要です。

登園・登校

    出席基準は発症(発熱のことです)後5日を経過し、かつ解熱をした後2日(幼児は3日)経過するまでです。これは薬により解熱までの期間は短縮しますがウイルス排泄が続き、感染力が持続しているためです。

インフルエンザ脳症(脳炎)について

インフルエンザ脳症は、毎年インフルエンザ流行の時期に見られる合併症です。例年100~300人のこどもたちが罹患し、致死率5~10%、後遺症出現率25%と発症すれば大変 大きな問題となります。

脳症の典型的な症状のパターンは、1日目に高熱が出現し、2日目にはけいれん~意識障害、3日目には死亡と大変急激な経過をとります。
脳症が発症するとき、明らかな神経症状(けいれん~意識障害など)があらわれえる半日~1日前に異常言動(後述)が約半数のこどもたちに表れています。

 

原因として、アセトアミノフェン(カロナール、アンヒバなど)以外の解熱剤(アスピリンなど)と言われましたが、これを投与されていなくても発生しており、脳症の原因はまだ完全には解明されておりません。
今のところアセトアミノフェン以外の解熱剤は脳症の悪化因子と位置づけられています。

 

異常言動について

脳炎/脳症をおこした場合、約半数にけいれんや意識障害が出現する半日~1日前に以下のような異常言動が見られたとのことです。

言語: 意味不明なことを言いだす、ろれつがまわらない、知っている言葉をとりとめなく喋っていた。見えないものが見えるという(アニメのキャラ・象・怪獣など)
行動: 目的のない行動をする(自分の手を「ハムだ」「ポテトだ」と言ってかじった)。枕に頭を打ち付けて、キャーキャー叫んだ
感情:
異常に興奮したり、泣いたり、「怖い怖い」とおびえたり感情が不安定となる。急に怒り出す、大声で歌いだす
表情: 無表情、目の焦点が定まらない
認知: 親がわからない、いない人がいると言う


もしこの時点で何らかの対処が行われれば脳症に発展せず治癒できたかは不明ですが、注目すべき点だと思われます。ただし、脳症でなくともインフルエンザでの発熱による熱性けいれんや、高熱での熱譫妄(せんもう)によるうわ言、異常行動などと鑑別を要します。

身近におこり緊急を要する疾患

見のがされると後遺症や重大な問題が危惧されるものを取り上げました。代表的なものに死の合図に該当(心筋炎)(脳炎/脳症)(アッペ:虫垂炎)(イレウス:腸重積など)(髄膜炎)(妊娠)がい(急性喉頭蓋炎)とう(糖尿病性ケトアシドーシス)】がありますが以下の3つについてです。

① 細菌性(化膿性)髄膜炎
② 腸重積
③ 虫垂炎

細菌性(化膿性)髄膜炎

ヒブ(ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型の略)、肺炎球菌ワクチンで明らかに頻度は減少しましたがワクチン未接種者や少なくとも2回終了していないとおこりえます。

《症状と診察所見》

基本的には発熱、(頭痛)、嘔吐です。
幼児以下ではこれらの症状がはっきりせず、なんとなく元気がない( not doing well )だけのこともあります。
また診察で最も価値ある髄膜刺激症状(項部強直:首の後ろが痛く、首を90℃に曲げることができない)もはっきりしないことがあります。
生後1歳半ぐらいまでの大泉門が開いている時期は、この部の膨隆が診断の助けになります。

《鑑別診断》

ウイルス性髄膜炎はおたふくかぜウイルスやエンテロウイルス感染などで時に見られます。症状は細菌性髄膜炎と同様ですが新生児以外では予後良好で早期退院も可能です。
嘔吐下痢症(ノロウイルスやロタウイルス)が初めに発熱と嘔吐で発症し紛らわしいですが、髄膜炎では発熱後に嘔吐や具合の悪さが目立ちます。

《確定診断》

髄液を採取し、細胞数の増加、細菌陽性で確定となります。
原因菌で多いのが、生後3ヶ月までは大腸菌B群溶連菌(巷で流行するのはA群溶連菌です)、それ以後の年齢ではヒブ肺炎球菌です。

《予防》

なんといってもワクチンです。ヒブへのアクトヒブ、肺炎球菌へのプレベナー13は生後2か月になったら是非お受けください。 また髄膜炎菌も原因になりますが日本ではまだ任意接種です。


腸重積

好発時期は離乳食が開始になった生後5か月~1歳児です。腸の蠕動運動の異常により、口側の腸管が肛門側の腸管にくいこむためイレウス(腸閉塞)の状態になります。

《症状》

三大症状は周期的な泣き(不機嫌)、嘔吐、血便です。 腹痛のため激しく泣き出しますが持続的ではなく間歇的で、泣いていないときは初めのうち機嫌も悪くありません。そのうち吐き始め、普通便の中にトマトジュース様、あるいは苺ゼリー様の血便が混じってきます。 このような典型例だけではなく、ただ泣くだけや、血便の見られないケースもあります。 稀に嘔吐下痢症のシーズンに嘔吐で始まり実は腸重積ということや、ロタウイルスワクチンの副作用で内服後1週以内に発症します。

《治療》

発症早期では内科的処置(空気や造影剤でくいこんだ腸管を戻す)で整復さることがありますが、時間がたつと手術が必要になります。

虫垂炎

認知度は高いのですが、小児、特に5歳以下では診断が難しい疾患の1つです。また小児では虫垂壁が薄いため容易に穿孔し腹膜炎にいたります。ある統計では3歳以下の虫垂炎では100%、5歳以下では70%が診断時にはすでに穿孔していたとのことです。

《症状》

右下腹部腹痛、嘔吐、発熱ですが、腹痛ははじめお腹の真ん中や上腹部を痛がり、時間とともに右下腹部を痛がることが多いようです。高熱のときは腹膜炎の状態かもしれません。
虫垂の位置は時に個人差があり、まぎらわしい症状がでることがあります。例えば
下痢・・・虫垂炎では下痢より排便のないことが多いのですが、虫垂が 大腸や直腸を刺激する位置にあると下痢になり
頻尿・・・虫垂が膀胱を刺激する位置にあると、膀胱炎のように頻尿に
左下腹部痛・・・まれに虫垂が左にある内蔵逆位で左下腹部痛が
腹痛の軽快・・・穿孔すると一時的に減圧され、腹痛が緩和します。ただしこれは腹膜炎で重症の状態です。

参考文献:崎山 弘 かえしてはいけない小児外来患者 医学書院 その他

いわゆる夏カゼについて

ヘルパンギーナ

《症状》

突然の発熱と喉の痛みが主症状です。発熱は2日前後続きます。特徴はのどの奥に小さな水疱がいくつかでき、つぶれて口内炎になることです。このため痛みがあり、飲食物がしみてよだれも多くなります。

《原因》

腸管ウイルス(主にコクサッキーA群ウイルス)の感染により、経口感染(手から口に入る)か、飛沫感染(唾液が飛んでうつる)が主な方法です。

《鑑別診断》

手足口病・・・口内炎以外、手や足に発疹があります。
■ヘルペス性口内炎・歯肉炎・・・口内炎とともに歯肉の腫脹、出血があり、発熱が持続します。
■水痘・・・口内炎より体幹の水疱が目立ちます。


手足口病

《症状》

発疹は水痘とは異なり手足、特に手のひらや足の裏に多くでます。口内炎をともない、これはヘルパンギーナと異なり、頬の粘膜や口唇の内側や舌にもできます。発熱はあっても微熱 程度が多いです。

《原因》

コクサッキーウイルスA16とエンテロウイルス71が有名ですが、他の型のウイルスでもおこりえます。感染様式は飛沫感染か経口感染です。

《合併症》

ときにエンテロウイルス71で脳炎をおこすことがあります。
夏かぜは冬のかぜにくらべ髄膜炎や脳炎、 心筋炎を起こしやすいので注意が必要です。

《鑑別診断》

水痘・・・水痘は体から、手足口病は四肢から発疹が出ます。ともに水泡をともないます。

咽頭結膜熱(プール熱)

《症状》

高熱、のどの痛み(咽頭炎)、目の症状(結膜炎)が主なものです。発熱は39~40℃が4~7日間続き、ときに咳や鼻汁など風邪症状も伴います。のどには滲出液(膿のような白い付着物矢印)が多くの場合付着します。目の症状は眼球結膜(しろめ)の充血、眼脂です。

《原因》

アデノウイルス3型での感染が多く、他にも1,4,7,14型でも発症します。アデノウイルスの検査は迅速検査ですぐに判明します。
水を介しての感染が多いため「プール熱」とも言われましたが、現在のプールの塩素濃度では心配ありません。水以外でも感染はおこりえます。

《鑑別診断》

川崎病(MCLS)・・・高熱の持続、目の変化は同様ですが(ただし川崎病では眼脂は認めません)、発疹や舌の変化(いちご舌)、口唇の発赤、リンパ腺の腫脹が川崎病では認められます。
伝染性単核球症・・・高熱、のどの所見は似ていますが、発疹や肝臓、脾臓の腫れが本症ではみられます。

伝染性膿痂疹(とびひ)

夏に多い感染症のため掲載しました。
《症状》

もともとの湿疹や虫刺されを掻いたり、小さな傷に細菌感染を起こして生じます。急速に水疱びらん(表皮が剥離した状態)、痂皮(かさぶた)が飛び火のように拡がります。

《原因》

水疱型・・・・最も多いタイプで、(黄色)ブドウ球菌が原因です。20~40%はMRSA(多剤耐性ブドウ球菌)により、治療に難渋することがあります。
痂皮型・・・・溶連菌が原因で、ときに急性腎炎を合併します。

B型肝炎(HB)ワクチンについて

日本のHBV(HBウイルス)感染者は約130~150万人で、そのうち100万人はキャリア(感染が6ヶ月以上持続し排除されない状態)で、こどもたちが多くを占めます。肝障害を伴うと慢性肝炎で10~15%の人が肝硬変、肝癌となり年間8000人が死亡しています。一過性感染では急性肝炎か不顕性肝炎に、ときに劇症肝炎となり死亡することがあります。今までは急性肝炎は治癒すると思われていましたが、HBVの遺伝子が肝細胞内に一生涯潜み、その後膠原病や悪性腫瘍に罹患しステロイドなどの治療でHBVの再活性化から劇症肝炎で死亡することがわかってきました(de novoデノボ B型肝炎)結局は感染すれば生涯つきまとわれます。



感染源

    垂直感染(母⇒子)

    母子感染は生後すぐから予防措置がとられています。

    水平感染(母以外の人⇒子)

    komatsu H et Hepatol Res 39:569-576 2009

    ①父子感染、家族内感染では、父親がキャリアの場合こどもたちは4人に1人の割合で感染します。
    ②血液はもちろん涙、唾液、汗からも感染し保育園、幼稚園で集団感染の報告もあります。
    ③医療従事者の針刺し事故ではHBVの感染率30%、C型肝炎3%、HIV:エイズ0.3%です。
    ④成人は性交渉で。

予防

    唯一の予防法がHBワクチン(不活化ワクチン)で、生後2、3、6ヶ月の3回、図の様に同時接種が一般的です。それ以上の年令ではなるべく早い時期に接種したほうが免疫の獲得が得やすいといわれています。


発熱時の対応

大人で38℃台の発熱があればとてもつらいですが、1~2歳のこどもたちは平気で遊びまわっていることがよくあります。そのため発熱への対応は年令により異なってきます。ここでは生後6ヶ月から4~5歳までの発熱時の対応です。
なお1つの方法と思ってください。


◆ 熱のではじめ青い顔をし寒気を訴えたり(悪寒)、ふるえ(戦慄)があるときは布団をかけてもよいですがそのまま放置していると次に高熱になり熱性痙攣を起こしやすくなります。

◆ 触って体が熱い時はまず布団を除きタオルケットなど薄いものをお腹にかけてください。さらに室温を20~25℃くらいにし、夏であれば体に直接冷風をあてないようにしてクーラーなど使用してください。

◆ 熱のためぐずぐずし始めればわきの下(腋窩)、足のつけ根(鼠径部)、さらに熱の下がりが悪いときには首のつけ根など太い動脈が走っている上をクーリング(保冷材をタオルで巻いて)してください。ちなみにヒエピタなどは解熱効果が期待できません。
それでも体温が下がらず母乳、ミルクを含めた水分の取りが悪いとき、寝るに眠れないとき、あまりにぐずりが強いときは熱剤を使用し、下がって機嫌のよいときになるべく水分をあげてください。 なお40℃以上でしたらいくら元気でも解熱剤を使用したほうがよいでしょう。

参考までに

その1) もそも発熱は生態防御であり熱が高いほど免疫機能が高まりウイルスや細菌が増えやすいのは平熱から微熱までです。そのため発熱性疾患で解熱剤を常用し熱を上げないようにするとかえって悪化することがあります。


その2)  いくら生体防御とはいっても熱のため水分の摂取や眠れないのを放置すると脱水や体力の問題となります。解熱剤を使用し気分のいいときになるべく飲ませてください。


その3) 4~5歳以下では発熱時に布団をかけすぎて熱がこもると(うつ熱状態)、熱性けいれんを10人に1人弱の頻度で起こします。とくに日本人は熱性痙攣をおこしやすい民族です。


その4) 熱は1日中続くよりは朝低く、夕方から夜にかけて上昇します。前日38℃以上あり翌日の朝平熱だからといって登園するとその後発熱で呼で戻されることが多いでしょう。24時間は発熱がないのを確認してから登園してください。


但し基礎疾患(心疾患など)のある方は下熱剤の使い方は主治医に相談して下さい。


発熱は生体防御の1つですが感染症の場合は同時に免疫反応も起こります。これには自然免疫獲得免疫があり予防接種や1度かかった病気に2度かからいのは特定の細菌やウイルス、真菌などの病原体に対して獲得免疫が得られるからです。成立するまでには7日間ぐらいの日時がかかり、その主役は白血球のうちリンパ球(T細胞、B細胞など)です。他方の自然免疫は感染がおきて数時間後には働き始め、病原体に固有の構造を白血球の1種である樹状細胞やマクロファージが認識して対応したり、マクロファージが病原体を食べたり(貪食)します。これで大多数の感染は治癒にむかいますがこれをすり抜けたときに獲得免疫が働きだします。なお免疫反応が強く発動しますと症状が重篤になるなど生体に不利な状況になることもあります。

乳幼児突然死症候群(SIDS)について

≪SIDS:sudden infant death syndrome≫とは・・

それまでまったく元気だった乳幼児が、何の予兆もなく心肺停止状態におちいり、蘇生できずに突然死亡。病理解剖を行ってもその原因がわからない患疾です。死亡までには至らず蘇生できた場合を、乳幼児突発性危急状態ALTE(apparent life-threatning event)といい、今まではニアミスSIDSといわれていました。以前は年間200~300人ほどSIDSが発症していましたが現在は予防の効果が上がり約100人ほどです。乳児死亡の1/4をしめ、先天奇形、周産期障害につぎ第3位の死亡率です。好発年齢は生後2ヶ月から6ヶ月までで、この月齢での発症率は全体の80%、生後6ヶ月から1歳まで10%、1歳以上で10%です。

《SIDSの危険因子》

うつ伏せ寝の子供は仰向け寝の子の3倍、人工乳は母乳の4.8倍、両親が喫煙する場合はしない場合の4.7倍、他にふかふかの布団の使用、厚着などもあります。

《原因》

睡眠中の窒息状態(例えば、うつ伏せ寝で顔がふかふかの布団にうまり、呼吸ができないなど)からの回復が遅れる覚醒反応の異常(呼吸中枢の未熟性)が原因といわれています。

《予防》

①寝かせるときは『仰向け』にし、固めの布団にしましょう。
②母乳保育が可能なら、なるべく続けてください。
③お子さまの周囲ではタバコはすわないように。
④できるだけお子さまとの接触を持ってください。

乳児の食物アレルギー(安全・安心な離乳食の進め方)

特に兄姉や両親にアレルギーがあり離乳食で卵などを初めて与える場合食物アレルギー(FA:food allergy)が生じないか心配なことがあります。ここ10年来、世界中でFAが増えたため予防のため妊娠~授乳中に母親が原因物質(アレルゲン)を除去したり、離乳食の開始時期や乳児で原因の9割を占める卵、乳、小麦(表)の摂取を遅くしました。
例えばアメリカなどではそれまで4~5か月から開始していた離乳食を6か月以降とし、乳は1歳まで、卵は2歳まで控えるように推奨しましたがその結果、母親の除去はなんら効果なくどこの国でも逆にFAの頻度が増えてしまいました。民族によりFAの原因は異なり同じユダヤ人でもイギリスとイスラエルに住んでいるこどものピーナッツアレルギーの頻度はイギリスで10倍多くなっています。


原因はイギリスでは離乳食にピーナッツを与えずイスラエルでは80%以上で与え、またイギリスでは保湿にピーナッツオイルを利用していたことでした。
これらのことから「抗原二重暴露仮説dual allergen exposure hypothesis;図」が提唱され、乾燥や湿疹など皮膚バリアーが破壊された部位への食物の接触(経皮感作:飲みこぼした母乳にはお母さんが食べた卵などが含まれていますし、家の埃も同様です)はアレルギーを誘発し、逆に経口摂取では免疫寛容(異物である食物にアレルギーを起こさない)や耐性(食べられなかったものが食べられるようになること)獲得に働くという説です。


さらに2017年の成育医療センターの報告は、生後4~5か月時点でアトピー性皮膚炎(AD)と診断された乳児にADの治療をしながら生後6~11か月の間卵を与えた群と与えなかった群を比較したものです。1歳時点で卵アレルギーの発生率は与えた群のほうが約8割少なく、強いアレルギー反応も示しませんでした(図は2017年1月11日の新聞記事です)。
今ではその他多くのデータから抗原二重暴露仮説は実証され仮説から理論となりました。

診断

FAの基本は「正しい原因アレルゲンの診断にもとづいた必要最小限の除去」です。10年前まではFAの疑いがあると検査を施行し食物抗原特異的IgE抗体が陽性ですと除去していました。重症のFAでは多くの検査項目が陽性となり厳格な食物除去のため栄養障害から脳障害をきたした事例があったほどです。また検査は1歳以下では結果が正しく反映されなかったりそれ以上の年齢でも偽陽性や偽陰性があります。例えば卵でアナフィラキシーをおこしたのに検査が陰性だから食べてよいはずがなく、今まで食べて症状がないのに検査が陽性だから除去する必要がないのも当然です。今ではアナフィラキシーや重篤な症状を呈する以外、多くの場合検査結果をうのみにして除去しないのは周知の事実です。それで確定のためにはFAの基本である「正しい原因アレルゲンの診断」となりますが、アナフィラキシーのような激しい症状の既往がなければ本人が実際に食べて症状がでるかでないか試すことになります。その際再現性、整合性、客観性がそろうかが問題になり、例えば5回食べて1、2回は症状がない(再現性なし)、牛乳は飲めるのにその加工品で症状がでる(整合性なし)、喉の痒みなど主観だけでだれが見てもわかる蕁麻疹などがない(客観性なし)ではFAが疑わしくなります。


対応

まずは皮膚バリアーの破壊がFA成立に重要なため保湿を行います。これも成育医療センターからの報告で、生後1か月からアレルギーのリスクがある乳児に毎日保湿をするとADが30%減るとのことです。こどもたちの肌は決して「たまの肌」ではなく生後1か月から思春期までは乾燥肌です。もちろんADを含め湿疹がある場合はその治療も必要です。次に以前何らかの症状がでてFAが心配な時の離乳食の進め方ですが、まずは症状のでないごく少量から開始し漸増していきます。初期量は症状の程度や経過、時には採血の結果などから総合的に判断します。食べなければ症状も出ないし安心ですが例えば6歳になっても摂取できなければ一生涯無理かもしれません。大雑把ですが卵などは3歳で50%、6歳で90%耐性を獲得します。また注意が必要なのは母乳保育中に「食物アレルギーが関与する乳児アトピー性皮膚炎:FA/AD」と診断されているときです。この場合、母乳中の微量のアレルゲンでADをおこしますが直接摂取では極めて大量になるため即時型の反応(蕁麻疹やひどいとアナフィラキシー)をおこす可能性もあります。そのため初めて与えるときは状況により採血の結果も考慮しごく少量から徐々に増量するのが基本です。卵ならアレルギー性の弱い卵黄を、次に全卵(卵白)よりは卵が入った加工品を利用したほうが安心かもしれません。ただし加工品でも卵の含有量には違いがあり卵ボーロなどはかなり強いアレルギーを示します。乳も加工品から、小麦は麦茶、(みそ、醤油)からうどんなどアレルギー性の低いものから与えます。卵のように加熱でアレルギー性が減弱するものもあれば乳のように関係の少ないものもあります。
また順調に摂取できているときでもsick day(具合の悪い時)では特別の配慮が必要になります。

以上どのように離乳食を進めていくかより具体的な方法が検討されていますが今までの「食べさせない」から>食べられる範囲で「食べる」へ方針が転換しました。

 

FAは5~10年前の知識はもう古いといわれるほど小児科の中でも最も変化~進歩の著しい分野です。今後より安全・安心に離乳食を進めるため開始時期や食材のあげ方などさらに変わる可能性もありますので注目していてください。


【参考文献】
食物アレルギー診療ガイドライン2016
伊藤浩明:食物アレルギーのすべて
栗原和幸:食物アレルギーのパラダイムシフト
その他多数の文献、雑誌など




お鼻をかむ練習器があります

の名もずばり『はなかめるゾウ』 で薬局で市販しています(600円)。
ふつう鼻をかめるのは3歳からですがこれを使えば2歳から可能かもしれません。

 

鼻をかんで風邪が治るわけてはありませんが次のような利点があります

中耳炎予防・・・・鼻をすすると耳にぬけるので
とびひ予防・・・・鼻を気にして始終いじるため
風邪予防・・・・鼻汁で鼻がつまり口呼吸が癖になり、細菌、ウイルス、冷気を直接吸い込むため
インフルエンザの検査で鼻をかめれば綿棒がいらないので・・・痛くない・・・



もちろん初めはお母さん、お父さんがやってみせ、お子さんに興味を持たせてから遊び感覚でお試しください。

ただしティシュペーパーをリボン状に切って片鼻をおさえ、息をだしてゆらゆら揺らせれば同じことかもしれませんが・・・。

販売;Kaneson 柳瀬ワイチ株式会社



排便は快感ですか?

常に気になるわけではないのにうっとうしいのが便秘です。お母さんも含め毎日の排便は快適ですか?自分が便秘気味で排便が苦しいとこどもがウンウンうなっていてもそれが当たり前と思ってしまいます。排便は決して産みの苦しみではなく3大快感の1つと言われ、何日もため込み苦しんで大量排便後にすっきりではとても快感とはいえません。ウンチでるかな?でトイレに行きストンと出るが快適な排便です。またこども達が1人でお尻を拭けるようになると便量や便性の確認までせず毎日トイレに行くので大丈夫と思い込みがちです。病院で当直していると救急車で顔面蒼白になり「お腹が痛い」と駆け込んでくるこども達が後を絶ちません。時に虫垂炎や腸重積など外科的疾患もありますが多くは浣腸ですっきりして帰っていきます。聞き取りで「毎日トイレに行っているのでまさか便秘での腹痛とは」となりますが、そもそも排便回数は便秘の定義にはありません。

 

排便習慣には個人差もありますがいくら排便間隔があいても ①食欲が落ちない ②腹痛などを訴えない ③排便が苦しくなくまとめて大量に出るのであれば本人のペースでしょう。逆にこのうち1つでも障害されていれば生理的範囲を逸脱しており対応が必要となります。排便が苦しいかは排便時にお腹、お尻を痛がる、便の表面に血液がつく、ウンウンうなって顔を赤くし苦しそうな顔つきになっている、トイレの時間が長いなどで分かります。


また図のような見張りいぼは痔ではなく硬便で肛門が切れ、それが治る過程での所見です。

便秘では 
①大人と違い幼少児は排便が苦しいとそれが嫌で我慢をし、その間便中の水分が直腸から吸収されさらに硬便になります。 
②通常、便が直腸にたまると排便感覚がおきますが慢性になると直腸が便で拡大しっぱなしで排便感覚が鈍くなりさらに排便困難となる二重の悪循環におちいります。これで便の先端部分が硬い便塞栓となり便の脇を液体成分だけがすり抜けて水様便が漏れてくることもあります。

 

まずは便性、便量、便回数の確認を

便性はブリストル便スケール便の先端を確認します。離乳食開始前は6~7、離乳食開始とともに固まって5となり、大人の正常便が4のツルツルバナナです。小児では便の先端が1~3では硬すぎて排便困難になります。1日便量は2歳以上で食事量にもよりますが大人の方手盛りから両手盛り、回数は1日1~3回かを確認します。


除外診断
90%は機能性(原因が明らかでない)便秘ですが一部に甲状腺機能低下症ミルクアレルギーなど内科的疾患やヒルシュスプルング病、直腸肛門奇形などの外科的疾患があります。大人の頑固な便秘で精査の結果、実はヒルシュスプルング病の軽症型で手術を施行したとの報告もあります。


治療
一般的にはまずはたまった硬い便(便塞栓)を十分に出しきらないと下剤を飲んでもお腹が痛くなるだけです。下剤(坐薬、浣腸)で便の先端が便スケールで4~5になるまで連用し、それから内服を開始します。2歳以上はモビコールが使用でき、薬の表面に腸内の水分を吸着し便を柔らかく、量を増やし、腸の蠕動運動を活発にして排便を促します。要するに食物繊維の強力版です。またこの薬は腸内で分解も吸収もされないので特別な副作用は心配ありません。これを使用しつつ正しい生活習慣が身につけば自然に薬からは離脱できるでしょう。


生活習慣
朝は胃の中が空っぽで朝食をとると大腸(結腸)が動き出す胃-結腸(大腸)反射が起こり、朝食後が1日のうちで一番排便しやすい時間帯です。その他の時間は通園、通学中や遊びに夢中などで排便を我慢してしまい定時での排便になりません。若い女性に宿便が多いのは多分朝の排便習慣がついていないからでしょう。 便秘には水分と食物繊維と言われますが水分は以前ほど言われなくなったのは余分な水分は汗か尿量が増えるだけだからです。また牛乳を飲むとよい、は都市伝説で大人はときに乳糖不耐症のため下痢気味になるだけで小児では逆に便秘の原因になることがあります。(不溶性)食物繊維はモビコールと同様な作用がありますが、幼少児ではそれに気を取られて栄養バランスがくずれると成長障害をきたすかもしれません。便秘が遺伝するとはいわれていませんが30~60%で家族集積性があるのは皆が同じ食事をとり生活リズムも似ているからでしょうか?

 

1日の基本的生活リズム(早寝、早起き、三度の食事、朝の排便習慣)を整えることが便秘に限らずすべてにおいて大切です。朝食を食べその後排便感覚がなくても短時間でもトイレに座る時間があるぐらいに余裕をもって朝起きるようにしてください。ちなみに毎日朝食を取る子の成績を100とすると取らない子は80、取ったり取らなかったりは90ぐらいと差がはっきりでています。またこどもの便秘の20%が大人に移行しますし、大人の便秘は大腸がんのリスクになるともならないともいわれています。 尿はたまれば無理なく出せますが便はそうはいきませんからある程度の介入が必要です。あなどるなかれ、たかが便秘、されど便秘で、目標 「ウンチ=苦痛、恐怖」から「ウンチ=すっきり、気持ちいい」です。



参考文献:十河 剛:子供の便秘はこう診る!
清水 俊明・他:たかが便秘、されど便秘 小児科臨床 2020
その他多数


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